この記事は親指シフト(orz配列)で書いています。
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親指シフト。・・・その響きに私が思い出すのが、北の国から 巣立ちでのタマコの台詞「東京はもう卒業したの」(みたいなかんじの。のちに純も富良野に帰ってそんな台詞を言うのだが)である。「親指シフトはもう卒業したの」である。
私の実家にはものこごろついたころから富士通のワープロ機OASYSがあった、それも歴代の。身内にF系事務機器のディーラーの人がいたので。
小学校中学年の頃には彼らおあしすくんたちと蜜月となり、ばちばちと日記を書いたりラブレターを書いたりテレビ局への投稿文を書いたりしていた(当時からそんなことしてたのね、と各所からつっこまれそうだが、そんなことに興じてたのはそのころと最近だけだ、人生において)。
あまりにも仲良くなりすぎ、外字入力機能で魔女宅のキキの絵を描いたり、辞書機能に百人一首やら高校生クイズの問題やらを登録したりして遊んでいたため、ディーラーのおじさんに「(きゅむ)ちゃんは将来プログラマーだね」と言われる始末。
もちろんそんなわけのわからんむずかしそーな仕事につくわけあらへん。と信じて疑わなかったけど。とにかくそんなOASYSに採用されていたのが、親指シフトキーボードなのである。
高校まではそのまま趣味の範疇でワープロを使い、大学でレポートを書く段になりやっとタイピング技術が日の目を見るわけだが、世はワープロ専用機からパソコンのワープロソフトへと潮流が変わり始めた時代。JISかな入力でタイピングを覚えてきた子たちも、卒論準備のころにはローマ字入力に矯正完了してたし、親指シフトをやめるのは当然の流れだと躊躇もしなかった。(大体、まわりで親指シフトの存在を知ってる子はほぼおらず、しかも少し事情通の友人には軽く非難されたおぼえが)
あれから十数年。どうしたことか、信じがたいことに、親指シフトがすばらしい、日本語を打つなら親指シフトが早い。みたいな話を時々耳にするようになった・・・何をいまさら?しかもエミュレーター入れてまで?だってあの真ん中にシフトが付いてるキーボードでないと意味ないじゃん。
いくらカリスマ実業家が誉めそやしているときいても、全く興味は湧かなかった。そりゃ、素晴らしいのはわかってるけどさ。母校をほめられるような感じ。だって卒業したんだもん。みんなも卒業しろってあの時言ったでしょ。純が東京にあの後足を踏み入れなかったのと同じ気持ちである(たぶん)。
ちなみに、ま○くもにーぐる並みの予知能力を発揮したディーラーのおじさんは、私が晴れて?プログラミングをするような仕事に付いたことは全く知らないまま、この世を去ってしまった。彼の言葉を意識して就職したわけでは全くないけど、あの頃があるから今の私があるのかなとは思う。
そんなこんなで自分にとって多少センチメンタルな対象である親指シフトに邂逅する機会が、最近突然やってきたのだ。(つづく)